セレブはJAZZがお好き?
ジェントルである。冒険心を忘れない。そんなライフスタイルを彩る大人のJazz Compilation!

2008年8月20日 発売
Jazz Spirits
その昔Jazzは不良の代表Musicだった。内に秘めた“毒”を持つその音楽性は、その時々の社会状況の中で常に“危険な音楽”であり、
それがリスナーの個性の表現でもあった。Jazzが不良性を取り戻した時、あらたなシーンが始まる。

【収録曲】
1.Dark Eyes  (P.D.)  (Kenichi Shimazu Trio) 
黒い瞳 
嶋津健一トリオ 8:34
2.The Summer Knows  (Michel LeGrand) (Scene of Jazz) 
おもいでの夏 
シーン・オブ・ジャズ 4:34
3.Capa  (Taihei Asakawa) (Taihei Asakawa) 
キャパ 
(浅川太平) 3:03
4.Moment To Moment  (Henry Mancini) (Stewy Von Wattenwyl Trio Featuring Eric Alexander) 
モーメント・トゥ・モーメント 
ステューイ・フォン・ワッテンウィル・トリオ featuring エリック・アレクサンダー 12:37
5.Fragile  (Sting)  (Tomoharu Hani) 
フラジャイル 
羽仁知治 5:06
6.Moose The Mooche  (Charlie Parker)  (Dairo Suga X Shinichi Kato) 
ムーズ・ザ・ムーチ 
スガダイロー加藤真一 5:05
7.Tammy Walk  (Hiroshi Murakami) (Hiroshi Murakami) 
タミー・ウォーク 
村上 4:23
8.If I Were A Bell  (Frank Loesser) KATO-SATOH-TAPPY) 
イフ・アイ・ワー・ア・ベル 
KATO-SATOH-TAPPY) 9:06
9.You Are In My Thoughts  (Shinichi Kato) (B-HOT CREATIONS) 
ユー・アー・イン・マイ・ソウツ 
(B-HOT CREATIONS) 5:50

total time  61:07

Credit
Compiled by Tommy
Mastered by Mas Anai
Cover Drawing by Akira Igarashi  五十嵐 晃
Designed by Banana Spirits

 毛筆のタッチが息づくその絵を観たのは2007年。暮れも押迫った東京、新宿のジャズクラブ“J”でのことだった。
 
 「70年代にはこんな女が新宿にいっぱい居たなあ。」そんなことを思いながらライブを聴いていた。日本のジャズが熱かった70年代の新宿は、世界のジャズシーンと密接にリンクしながら蠢いていた。新宿ジャズは、熱い思いを持った若者文化の一翼を担っていた。
 
“J”で個展を開いていたのは五十嵐晃。彼の描く“女”の気配が、私の考えるジャズの気配に共通したものを感じた。ローヴィング・スピリッツも10年目になったので、何かまとめておきたいと思っていた。そこで五十嵐氏の快諾を得て、その“女”に纏わせるのにふさわしい曲を選んでみた。このコンピレーション・アルバムは、五十嵐晃の描く”女“とローヴィング・スピリッツで発売したカタログのコラボレーションです。


1.黒い瞳 嶋津健一トリオ
 嶋津健一(piano) 加藤真一(bass) 岡田佳大(drums)

 「お客さんを入れてライブ形式で録音したい。」ジャズは生ものだという嶋津の信念で、スタジオをライブハウスのようにして録音。ジャズ・ファンにはすでにおなじみの曲。嶋津トリオの真骨頂とも言うべきリリカルかつ深みのある表現は、ジャズにおけるトリオ編成の現代的な答えのひとつだ。


2.おもいでの夏 シーン・オブ・ジャズ
 石井 彰(piano) 安ヵ川大樹(bass) 大坂昌彦(drums)

 「誰にでも解りやすいジャズのスタンダードを聴いてもらいたい。」のコンセプトで編成された実力派スーパー・トリオ。現在の日本ジャズシーン屈指の3人が、有名なルグラン曲をオリジナルの雰囲気を損なうことなく、コンパクトながら印象深く聴かせる。


3.キャパ (浅川太平)
 浅川太平(piano) 鉄井孝司(bass)

 伝説のカメラマン、ロバート・キャパにちなんで書かれた浅川太平のオリジナル。レコーディング前のデモではショパンのような印象だったが。レコーディングでは、しっかりと自分の世界を作り上げてきた彼の才能は、これからのジャズシーンを担ってくれることだろう。


4.モーメント・トゥ・モーメント ステューイ・フォン・ワッテンウィル・トリオ featuring エリック・アレクサンダー
 エリック・アレクサンダー(tenor sax) ステューイ・フォン・ワッテンウィル(piano) ダニエル・シュラッピ(bass) ペーター・ホリスベルガー(drums)

 アメリカからエリック・アレクサンダーを迎えて、ステューイの地元スイスで繰り広げられたライブは、エリックにしてはまれにみる熱いソロ・プレイの連続だった。マンシーニ曲をこれほどまでにジャジーに仕上げたのは、もはやワールド・クラスでもトップにランクされるべきグループのひとつだ。


5.フラジャイル 羽仁知治
 羽仁知治(piano) クリス・シルバースタイン(bass) スコット・レイサム(drums)

 スティングの有名なPOPナンバーを、持ち前のムーディーかつリリカルな演奏で料理した羽仁知治は、独特なピアニズムの世界感があるミュージシャン。さまざまなアーティストにアレンジを提供し演奏に参加しながら、なおかつ常に自分の世界を持ち続ける貴重なミュージシャンだ。


6.ムーズ・ザ・ムーチ スガダイロー加藤真一
 スガダイロー(piano) 加藤真一(bass)

 アルバム『ジャズ・テロリズム』の企画段階で行った外苑前のライブハウス「Zimagine」での録音。アルバム・ヴァージョンとの違いを聴き比べて頂きたい。体調絶不調ながらもこれだけのクオリティーで演奏するスガダイローに加藤真一のベースが絡みつく。パーカーの有名曲に臆することなく挑戦する2人に拍手


7.タミー・ウォーク 村上
 村上 寛(drums) 峰 厚介(tenor sax) 佐藤允彦(piano) 加藤真一(bass)

 日本ジャズの重鎮とも言うべきメンバーで、意欲的に取り組んだ作品『Vivo!』で現在形の自らのジャズを余すところなく表現。こんなスタイルの現役ドラマーも少なくなった今の日本ジャズシーン。忘れては困る村上寛の存在!村上のオリジナル曲だが、まるでモダンジャズのスタンダードの趣きが感じられる逸品


8.イフ・アイ・ワー・ア・ベル KATO-SATOH-TAPPY)
 加藤真一(bass) 佐藤允彦(piano) 岩瀬立飛(drums)

 マイルスの演奏などで有名なローサーの曲。北海道ツアー時のライブ録音。人とは違う解釈を信条とするのがジャズの醍醐味のひとつ。佐藤允彦らしい面白さが溢れるトラック。リラックスして自由奔放な遊び心あるこのトリオは、短期間ながら記憶しておいていいメンバー構成だった。


9.ユー・アー・イン・マイ・ソウツ (B-HOT CREATIONS)
 加藤真一(bass) 田中信正(piano) 斉藤 良(drums) Nobie(voice)
 このグループはベーシスト加藤真一がリーダー。そして彼のオリジナルを演奏することが多い。ヴォーカルをも演奏者のひとりと捉え、常に前進する稀有なバンド。世代や音楽観の違いが違和感なく融合して独自のジャズ・グループとして存在する。この加藤のオリジナル曲を他の3人が遺憾なくその個性を発揮している。

<冨谷正博>

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