全編オリジナル。サポート陣も、カルロス・ゴメス、オトマロ・ルイーズ、お馴染みになったホメロ・ルバンボなど強力なメンバー。

Pimenta Rosa / Lica
ピメンタ・ローザ/リカ


Label: Roving Spirits

CD
品番:RKCP-5009
POS
4544873 05009 1
発売日:2004.12.15
税込価格\2,415
税抜価格\2,300
発売会社:有限会社ローヴィング・スピリッツ
販売会社:スリーディーシステム株式会社 株式会社プライエイド・レコーズ
(P)2004 Roving Spirits Co., Ltd.

【解説】

リカ(Lica Cecato)の歌を初めて聴いたのは、2001年にリリースされたアルバム『コンステラーリオ』。たまたまCDショップで見け、彼女の名前はまったく知らなかったのだが、ホメロ・ルバンボ(ギター)、パウロ・カラザンス(キーボード)、アルトゥール・マイア(ベース)、カルロス・バラ(ドラムス)といった共演者の名前と、ジャヴァン、レニーニ、アルナルド・アントウニス、エギベルト・ジスモンチといった曲の作者の名前に惹かれて購入。さっそく聴いたところ、お!イイじゃないか。歯切れが良く、きっぷもよく、肝っ玉が座っていて重心の低い安定感たっぷりの歌声。オリジナル曲も含め、歌詞のツボをしっかり伝えて歌う表現力。ジャズに通じるインプロヴィゼーションのセンス。タダモノではない、でも何者?と思っていたら、間もなく彼女が来日することになり、ナマの歌を聴くチャンスがやってきた。

 ライヴではギターの弾き語りで古今のブラジルの名曲を披露し、CDで聴いていた以上に力強く、しなやかなグルーヴ感みなぎる歌声に魅了されたのだが、ほかにも驚いたことがある。なんと彼女、日本語もかなり堪能。聞けば親戚筋に日本人がいるわけではなく、純粋に日本語を勉強してきたのだという。

 そのときに知り合って以来、何度かメールのやりとりをするようになったが、彼女から届くメールはいつも日本語。話せるだけでなく、読み書きも出来るのだ。

 さて、リカとはどういう人なのか。彼女が自ら日本語で書いたオフィシャル・バイオグラフィーを参考に紹介していこう。

 正式なアーティスト名は、リカ・チェカート。ブラジル・サンパウロ生まれのイタリア人。祖父は指揮者で父がテナーサックス奏者という音楽一家に育ち、6歳でピアノを、11歳でギターを始めた。1978年、ヨーロッパに渡って歌手デビュー。イタリア、アメリカ合

衆国、オーストラリアなどで活動するかたわら、86年にバークレー音楽院に入学し「サラ・ヴォーン・ミュージック・アウォード」を受賞。94年以降はクラシックの歌唱法も学んだ。

 ファースト・アルバムは、92年にイタリアでレコーディングした『アワ・フェイヴァリット・シングス』。96年にはチャーリー・マリアーノ(アルトサックス)、ジェフ・ハミルトン(ドラムス)らの著名なジャズメンと共演したセカンド・アルバム『ペレ』をドイツでレコーディング。そしてサード・アルバムが冒頭に紹介した『コンステラーリオ』で、ブラジル・リオ録音。これが初めて母国ブラジルでリリースされたアルバムで、ブラジルの音楽ジャーナリストからも絶賛された。2002年にはセカンドとサードから曲をピックアップした『カフェ・ノヴォ・ボッサ!』が日本盤でリリースされた。

 さらに2003年、ホメロ・ルバンボとのツイン・リーダーによるデュオ・アルバム『ライヴ・イン・ヨーロッパ』を発表。これは2001年にポルトガルとドイツで行ったコンサートのライヴ・レコーディングだ。

 このように、リカのキャリアは25年以上に及び、ワールドワイドな足跡を残してきた。現在はブラジルのリオ、ドイツのケルン、イタリアのミラノに住まいがあり、この3都市を拠点に軽快なフットワークで世界各国を飛び回っている。日本語をはじめ7カ国語に堪能な頼もしいコスモポリタンだが、これまでに発表したアルバムを聴いても海外のマーケットに自分を合わせるような計算はまったくしておらず、つねに自然体で持ち前のブラジリダーヂを発揮していることが伝わってくる。レパートリーも、クラシック(ブラジルの楽聖エイトール・ヴィラ=ロボスの作品)からアントニオ・カルロス・ジョビンをはじめとするボサノヴァのスタンダード・ナンバー、ブラジルのインスト音楽の象徴的存在であるエギベルト・ジスモンチの作品、カエターノ・ヴェローゾやジャヴァンといったMPBの大御所の作品、レニーニやアルナルド・アントゥニスといったブラジルの今を代表する尖端アーティストの作品、欧米の曲、そしてリカ自身のオリジナル曲まで幅広く、選曲センスの良さも魅力的だ。

 さてこの、日本先行リリースとなる『ピメンタ・ホーザ』は、リオ録音の最新作(一部、ケルン録音)。過去の作品と異なり、全曲が彼女のオリジナルだ。これまでの彼女は自作も歌ってきたが、むしろ今書いたような多彩なレパートリーを取り上げて自分の色に

染めあげる“表現者”としてのキャラクターが強かった。それに対し、この新作ではシンガー/ソングライターとしての可能性を追求していて、明らかに新生面がうかがえる。

 共演者の顔ぶれも、ブラジルを代表する名手がズラリ。リカと何度も共演してきたホメロ・ルバンボはニューヨークを拠点に活動中で、ブラジル音楽はもとよりポップスからジャズまで引っ張りだこの売れっ子だ。同じく以前からつきあいがあるパウロ・カラザンス(キーボード、プログラミング)、カルロス・バラ(ドラムス)は、リカお気に入りのソングライター、ジャヴァンのバンド・メンバーでもあった。エイトール・T.P.(ギター)はシンプリー・レッドのメンバーとしても活躍していた。さらに、リカの共作者でもあるジョゼ・ロウレンソ(キーボード)のほか、オトマロ・ルイーズ(キーボード)、セルソ・ピシンガ、マルセロ・マリアーノ(共にベース)など、各世代の匠が揃っている。

 サウンド面は、これまでのリカのアルバムに比べて格段にポップ。ただ、あっけらかんと陽気な音ではなく、微妙な翳りを帯びた音のグラデーションが印象的だ。彼女のルーツであり拠点のひとつでもある、イタリアのコンテンポラリー・ポップスの音づくりとの共通点も感じる。もともとブラジルにはイタリア移民が多く、両国の音楽的な相互影響も強い。これはリカ独自のスタンスに根ざした“イタリアン・ブラジリアン”な音楽、そうも聴きとれる。ちなみに7曲目の「ベイジョ(キッス)」の歌詞は1コーラス目がポルトガル語、2コーラス目がイタリア語だ。

 リカの、ことさら声高に歌いあげたりしないが輪郭がハッキリした存在感が伝わる歌声。声とサウンドとのバランス。詩を歌う姿勢に貫かれた、シンガー/ソングライターとしての自立性の高さ。これらを総合して、あえて他のブラジルの女性歌手の名前をあげるとすれば、マリーナ・リマが思い浮かぶ。そういえばリカとマリーナは、世代も近いんじゃないだろうか。ただしリカの歌声のほうがマリーナよりも陽性で、体温も高いけれど。

 プロフィールからも想像できるように、長年にわたって海外で活動してきたリカは、行動力あふれるパワフルな女性でありアーティスト、そして自由人だ。でも彼女の音楽は、必要以上に“強さ”を売りにしていない。だからいっそう、芯の強さが、そして包容が

伝わってくる。おそらくそうした彼女の内面的な強さ、たくましさは、男性よりも女性の聞き手のほうが敏感にキャッチできるのではないだろうか。

 日本語もバッチリ、そして日本が大好きというリカ。この先、日本を訪れる機会がますます増えてくると思うので、今のうちにゼヒ、彼女の音楽と知り合ってください。

     2004.10.   中原 仁/Jin Nakahara


弾むBossa、気分はCafe !

リカ / カフェ・ノヴォ・ボッサ!
Lica / Balan-Balancing, New Bossa

Label:Roving Spirits  CD: RKCP-5004  POS4544873 050046
発売日:2002.9.19
定価\2,415 税抜価格\2,300
販売会社:スリーディーシステム株式会社

リカ (Lica Cecato
 ブラジル、サンパウロ生まれ。6才の時からピアノを習った後13才でギターを手にする。
 1978年ブラジルを離れてヨーロッパに移り住んだ。ヨーロッパ各地、アフリカ各地、アメリカ、にてコンサートを行い絶賛を博す。1986年には有名なバークレー音楽院(ボストン、アメリカ)に学びサラ・ヴォーン・ミュージック・アウォードを受賞。また1994年からはクラシックの歌唱法も学んでいる、マルチ・シンガーである。
 ポルトガル語、英語、イタリア語、スペイン語、フランス語、ドイツ語などを話し、たびたび来日して現在では日本語も堪能な才媛である.

[ディスコグラフィー]
1992  Our Favorite songs
1999  Pele
2000  Constelario

収録曲
1.  Ne?  ネ? (Lica Cecato)  6:01
2.  Boa Noite  ボア・ノイチ (Djavan)  6:10
3.  Cafe  カフェ (Egberto Gismonti / Norma Winstone)  3:40
4.  Amor Adolescente  アモール・アドレセンテ (Lica Cecato)  5:39
5.  7000 Vezes  7000 (Caetano Veloso)  6:21
6.  Chovendo na Roseira  ショヴェンド・ナ・ホゼイラ (Antonio Carlos Jobim)  3:01
7.  Dio Come Ti Amo  愛は限りなく (Domenico Modugno)  3:27
8.  Donizetti  ドニゼッティ (Lica Cecato)  2:25
9.  A Ra  ア・ラ (Joao Donato / Caetano Veloso)  4:02
10. Sabia  サビア (Antonio Carlos Jobim / Chico Buarque / English lyrics by Norman Gimbel)  5:34
11. Rock-Dog / Rockao  ロック・ドッグ/ロッカオ (Lica Cecato)4:03
12. Melodia Sentimental  メロジア・センチメンタル (H.Villa-Lobos / Dora Vasconcellos)  6:22

メンバー

Track:2,3,7,9,11
Lica Cecato (vo) リカ
Romero Lubambo (g, guitar synth) ホメロ・ルバンボ
Arthur Maia (b, cajon) アーサー・マイア
Carlos ‘Bala’ Gomes (ds) カルロス‘バラ’ゴメス
Junior Aguiar, Eduardo Fusco, Pedro and Julia Werneck, Romero Lubambo (backing vocal on ‘Boa Noite’)
ジュニア・アグィアー エデュアルド・フスコ ペドロ&ジュリア・ワーネック ホメロ・ルバンボ
Arranged by Junior Aguiar, Lica Cecato, Romero Lubambo, Arthur Maia

Produced by Lica Cecato & Junior Aguiar
Recorded at Joa Studio,Rio de Janeiro, April 2000
Mixed by Tony Volante at Soundtrack Studio,NYC, June 2000

Track:1,4,5,6,8,10,12
Lica Cecato (vocal) リカ
Charlie Mariano (ss, as) チャーリー・マリアーノ
Hubert Nuss (p) フベルト・ナス
Paulo Bellinati (g) パウロ・ベリナーティ
John Goldsby (b) ジョン・ゴールズビー
Jeff Hamilton (ds) ジェフ・ハミルトン
Paul Shigihara (g, guitar synth) ポール・シギハラ

Arranged by Paul Shigihara

Produced by Antonio Dias & Lica Cecato
Recorded at Topaz Audio Studio, Cologne, Germany, December 10,1996
Engineered by Reinhard Kobialka
Mixed by Reinhard Kobialka & Paul Shigihara

[Japanese Release Staff]
Japanese release produced by Masahiro Tomitani
Re-mastered by Kazuhiro Yamagata(CD design mastering)
Cover Photo by Makoto Suda
Designed by Banana Spirit Design
Special thanks to Yuko Sakurada, Yoshio Matsushita


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